2026年10月30日金曜日

株式会社青者 代表取締役 渡辺慎一郎氏登場。

 “飲食の戦士たち”で株式会社青者 代表取締役 渡辺慎一郎氏を取り上げました。

本文より~

高校までの渡辺さん。

両親ともに公務員という堅い家庭に、渡辺さんは長男として生まれた。
「父も母も北海道出身。父は元警察官で、言葉よりも先に手が出る昭和の頑固親父」と渡辺さんは苦笑する。
小学生の頃の渡辺さんは、感情と表現がうまく噛み合わなかったそう。
「だから友達もいなくて孤立していました。小6の卒業のとき、ふと『これじゃダメだ』って、性格を改造しようと決意するんです。それで、中学になって父親の勧めもあって野球部に入ります」。
「これがね」と渡辺さんは。もう一度苦笑した。
「今じゃ絶対アウトの、超スパルタな世界だった」とのこと。
「忘れ物にはローキックが、真夏のグラウンドを何時間も走らされて気を失ったこともあった」という。
「怖すぎて辞めることもできなかったんです」。
ただ、理不尽な恐怖と厳しさのなかで、性格は自然と矯正されていった。
そういう意味で、父の勧めは正解だった。
勉強のほうは?と聞くと、「大学受験で苦しみたくないと思って、中2から猛勉強を開始しました。なんとか、エスカレーター式の『明大中野高校』へ進学できました」。
「明大中野高校」はもちろん名門校だ。

新橋のお茶漬けと、飲食の世界。

高校時代、渡辺家に大きな転機が訪れた。
「あることがきっかけで家族がバラバラになって。大学時代は姉と都内で2人暮らしです。生活費も稼がなきゃいけない。姉に誘われ、新橋のお茶漬け屋『こめらく』でバイトをはじめます。これが、飲食との出会いです」。
まだ当時は2店舗目ができた頃だったそう。
じつは、大学卒業後も、渡辺さんは「こめらく」でバイトをしている。
「内定はほぼ決まっていたんです。大手の証券会社でした。ただ、研修のときから縦社会で、あからさまなおべっかをみんなふつうに使っていて。これは、あかんだろうと、4月1日の入社式の直前に内定を辞退させていただきました」。
―――それでフリーター?
「そうなります。バイトしながら舞台俳優をめざすんです。でも、そううまくはいかないでしょ。気づけば25歳。こいつはやばいってなって、大手定食チェーン出身者がはじめた定食屋に就職しました。舞台俳優以外なら飲食がいいと思っていたんです」。
「飲食がいい」が「飲食の世界は狂っている」に変換されるまで、そう時間はかからなかった。
「もう、むちゃくちゃなハードワークで」と渡辺さん。
「1日16時間労働がベーシックです。みんなボロボロになっていくんです。尊敬してた先輩が、飲食の世界から姿を消したときには、この世界は狂っているって」。
「でもね。飲食自体は大好きだったんです。だから、こうじゃなく、『正常な飲食の世界をつくろう』と。じつは、つぎの会社では、それが実現できると思っていたんです」。
「でも」と渡辺さん。 ふたたび、ピュアな心が傷ついた。
「共通の思いで、ある人と、飲食店を創業します。オーナーはその人です。10坪16席だったかな。お休みは月4日。給料は20万円。1日15~16時間労働。スタッフは採用しても辞めていっちゃうんで、ワンオペです」。
結婚してからも、ハードワークはつづいた。
「週6日、泊まりです。客席に布団を敷いてシンクでからだを洗って。たいへんだし、つらいし、妻にも迷惑をかけていたんですが、それでも、今の苦労は正常な飲食の世界をつくるためなんだって言い聞かせていたんです。業績は悪くなくって、2号店をオープンするくらいの資金もできているはずだったんです」。
「3年目くらいかな。若さゆえの間違った抗議が災いして、オーナーにクビだって」。
クビの一言に立ち尽くしたんじゃないだろうか。だれもが幸せになれる世界はもちろん、人を信じるというピュアな思いがいっしょに崩れ去ったにちがいない。

坪100万円のレシピ。

「それでも、飲食からは離れませんでした。お客様だった飲食店のオーナーさんに相談して、手伝わせていただきました」。
給料は3万円安くなった。
ただ、勉強はできた。「坪100万円」と聞いて、驚いた。
―――どうすれば、坪100万円に?
素直すぎる質問だった。だが、そんな質問にも、ちゃんと答えてくれるところに渡辺さんの性格がにじみでる。
「料理や、サービスといったことも大事ですが、何よりスタッフが高い水準意識を持つことなんです。600万円でいいと思うのと、1000万円いこうよというのでは工夫も変わってきます。予約管理ひとつ、追加の1杯に、こだわってみてください。売上は劇的に変わるはずです。大事なことは、スタッフみんなで共有することなんです」。
渡辺さんが独立を決意するのは、つぎの会社で。
その会社とは以前「飲食の戦士たち」にもご登場いただいている株式会社まんてんである。
「ある日、『こめらく』から数えて5社目となる、まんてんの阿部社長とごいっしょさせていただき、飲んでいたときのことです。阿部さんから、『なべちゃんは、もう独立しなよ。これ以上の給料はもう払えないからさ』って」。
―――これもまた、クビ宣言ですね?
「そう」といって渡辺さんは笑う。
「冗談だったかもしれません。ただ、僕のためを思って、応援しての一言だと私にはグッと刺さりました。いうなれば前向きなクビ宣言でした!笑」。
少し真剣なまなざしになり続ける。
「そして、思ったんです。もう、だれかといっしょじゃ無理だ。自分でつくるしかないんだって」。
つくりたいのは、渡辺さんが追いかけてきた「正常な飲食の世界」である。 2023年、コロナ禍。 渡辺さんは、大きな賭けに出た。
お子さんの学資保険を解約。借入金とあわせ1600万円。すべてを「理想」に投資した。

・・・続き

株式会社青者 代表取締役 渡辺慎一郎氏



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