2021年6月24日木曜日

株式会社ビースマイルプロジェクト 代表取締役社長 桑原 豊氏登場。

in-職(いんしょく)ハイパー“飲食の戦士たち”株式会社ビースマイルプロジェクト 代表取締役社長 桑原 豊氏登場。 

本文より~

親会社はカミチク。その会社なら知っている。

最後の3年間は香港やカンボジアだったと社長も務めた事があるワタミ時代を振り返る。
「ワタミの社長を退任し、ワタミインターナショナル社長に就任します。むろん、渡邉とは情報を共有していました。ワタミグループを退社するのは香港から帰国し数ヵ月した時です。元々起業するつもりでしたので、それがこのタイミングになったと言う事です」。
「起業することをすかいらーく創業者の横川 竟さんに報告すると『やめておけ』と言われます/笑」。
「少なくとも『今すぐじゃないんだろうから』と、人材紹介のエージェントに会うよう勧められました。私も半年位はインターバルをみていましたし、尊敬する横川さんの勧めなので一度会ってみるかと割と気軽な思いでエージェントにお会いしました。その時に紹介されたのが、今私が社長を務めるビースマイルプロジェクト(以下、BSP)だったんです」。
「BSPと言われても全然ピンと来ませんでした。聞いた事も無い社名でした。ただ、親会社の話になった時には、逆にピンと来て『それってカミチクでしょ』って言ったら『そうです。よくご存じですね』と/笑」。
実は7年前に、桑原氏は「カミチク」と出会っている。
「皆さんもご存じだと思いますが、ワタミは1次産業も行っています。酪農・畜産もその一つで、私が代表の時も北海道で広い牧場を経営していました」。
いち早く短角牛の飼育も行い、牛は全部で900頭いたと言うからスケールもでかい。
「かなり投資もしていたんですよ。有機の牧草で飼料から吟味していましたので、チーズやアイス等の乳製品にも自信があった。当時肥育数の少なかった短角牛にしてもパイオニアです。A5ランクのサシ入りより、赤身系の体にいい、牛もダメージを受けていない牛肉がいいだろうと短角にいち早く目をつけたのがワタミです。短角だけで200頭はいたんじゃないかな」。
山の向こうまで続く広大な牧場。牧草は全て有機。牛達は、その牧草を食みながら育つ。「ただ、お金をかけると言っても、メイン事業ではない分限界がある。ワタミは1次産業に進出する事で、循環型のスタイルを作りたかった訳ですが、メインはやはり3次産業ですから」。
視察の度に苦笑する。
「牛舎が汚い」と桑原氏は笑う。
「屋根には穴が開いている。匂いもきつい。とはいえ、飼料も有機で育てて貰っている事からも分かる通り、『想い』がない訳じゃない。ただ思いだけでは収益は上がらない/笑。生産性も含めて、事業としてやって行くにはどうすればいいか、それが当時ワタミの経営者であった私の悩みでした」。
確かに資本力があっても事業化は難しい。それが農業である。
「その時、ある農機具メーカーさんに『お手本になる会社はないか?』と尋ねます。勿論、当社と同程度の規模で、尚且つ収益をきちんと上げている会社です。そうしたら『日本に1社だけある』って言うんですね。そう、その日本に1社の会社が『カミチク』だったのです」。

7年ぶり。縁は繋がっていた。

縁があるとはこう言う事なのだろう。
「カミチクは鹿児島の会社です。『早速、1泊2日で行きましょう』と言う事になります。初日に鹿児島の繁華街『天文館』で鉄板焼を頂くんですが、それがカミチクの牛肉との最初の出会いでした」。
いい肉だった。むろん、文句なしで旨い。
「翌日、牧場に行く訳ですが、その場に降り立って『え?』って首をかしげます。牧場に行く時はいつも覚悟して行くんです。匂いがきついでしょ。でも、カミチクの牧場は全く匂わない。微かに漂っている位で」。
当時、訪問した牛舎では、約3000~4000頭の牛を飼育していたそうだ。
「それ以上に驚いたのは多数の若い人達が働いている事。すれ違う度に『お元気様です』って、独特の挨拶をしてくれる。礼儀も正しい。同じ牧場なのに異なった世界を観ている感じでした」。
牛舎も綺麗に掃除されていて、これにも驚いたと桑原氏。
「正直、驚きの連続でした。視察が終わり、最後に社長(カミチクグループ代表 上村 昌志)にインタビューさせて頂くんですが、その話を聞いて絶句しました」。
飼料も契約農家にお願いして、自社で作っているとの事だった。「しかもね、耕作放棄地を使っているとおっしゃるんです。耕作放棄地を使って、牛の為の米やコーンを育ててもらう。しかも、年間契約で全量買い取り。その結果、耕作放棄地も蘇り、安定的に収益が上がるから後継者も育つ。牛の飼育は勿論ですが、土地も、農業も、人も蘇生する」。
「絶句」と言うより、「気絶」と桑原氏は表現する。生産性からしてまるで違う。お手本というより、理想。その時、もう一つ質問を重ねている。
「巧くいく秘訣は?とストレートに尋ねました。そうしたら『農業が難しいと思うのであれば、やめた方がいいですよ』って言われるんです」。
農業は難しい。片手間ではできない。ひょっとしたら上村氏はそう言いたかったのかもしれない。
「その後私も海外に赴任しますから、その後のお付き合いはありませんでした。ただ、酪農は勿論ですが、当時から海外に目を向ける等、先進的な会社と言うイメージは残っていました」。
「カミチク」と言う社名もインプットされた。
その会社に再度、出会う事になる。
今度は銀座で。
それが2018年の事。

上村氏と渡邉氏。

「『副社長』と言うお話でしたが、私は起業を計画していたので、顧問として携わりたいとお願いします。2018年7月の事です。色々とお手伝した中で、一つ挙げるなら、2019年12月渡邉さんと上村さん・・・つまり、ワタミとカミチクとで合弁会社を作るんですが、そのきっかけを作ったのが私です」。
2人は同い年だし、どこか似ていると両者を良く知る桑原氏は言う。経営理念やビジョンも近い。それで一度、セッティングしようと思ったそうだ。しかし、会って5分で合弁会社設立の話がまとまるとは、きっかけを作った本人も驚いている。
「渡邉さんが先に興味を持って、事前に上村さんには合弁会社の話を伝えてはいたんですが、さすが創業者同士ですね。会って5分。相手をみるなり『やりましょう』となり5分で構想が固まります。桁違いのスピードです」。
それが「かみむら牧場」ですか?
「そうです。合弁会社を作り、海外戦略も含めやっていこうとなります。いわば、生産のプロと飲食のプロががっちり手を握ったと言う話です」。
上村氏は事業化が困難な農業でいくつもの答えをだしている。一方の渡邉氏については今更言うまでもないだろう。
カミチクのホームページには「日本の農業に、答えを。」と言うキャッチフレーズが掲げられている。ただ、農業だけですべての解が揃う訳ではない。ワタミとの合弁会社は、新たな解の一つに加わるに違いない。
「すでに相乗効果が生まれています。元々渡邉さんも農業を憂慮されていましたから、積極的に動かれています。かみむら牧場は東南アジアを皮切りに北米にも進出予定です。それをきっかけに最終的には日本の畜産を向こうに持って行く。これが、お2人の構想です」。
壮大なスケールだ。
BSPでも、この「かみむら牧場」を運営している。肉の質は言うまでもなく文句なし。グルメサイトの評価も高い、高い。
ちなみに、カミチクでは2年半ほどあれば飲食店が売りたいスペック通りの牛が作れると桑原氏は言う。「ブランドにマッチしたオリジナルの牛肉ですね。餌と血統を組み合わせて作ります」。つまり、肉質は勿論、お肉の味も好みに合わせて作ることができるのだ。
「かみむら牧場」では、こうした上質の牛肉をリーズナブルな価格で提供する。
「回転ずしのしくみを採用する事で実現した生産性の高い食べ放題が、『かみむら牧場』の基本コンセプトであり、スキームです」。
肉は黒毛和牛をメインに、輸入牛もカミチクで加工し、使用する事になっている。
「私どもが今運営しているのは大阪の守口と深井の2店舗です。来春には福岡にも出店予定です。かみむら牧場の出店はフランチャイズをメインにするつもりです。カミチクにとっては肉を卸す先が拡大します。それ以外にも兵庫県の丹波にカミチクの新たな工場ができたのですが、元々はワタミの工場だったところを、従業員も一緒に譲り受けたものです」。
経営スタンスが近いからスタッフも困惑する事なく異動できたそう。カミチク、ワタミ、いずれにもメリットがあったと桑原氏。
桑原氏が落とした一滴の水は波紋をつくり、農業と外食の世界に広がっている。
ところで、社長に就任されたのは2020年の事ですよね?
「そうです。コロナ禍の最中です」。
一番難しい時だったのでは?
「大変な時はどこに行ってもある。大事な事は、どう乗り越えるかです」。

・・・続き

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