2019年3月12日火曜日

シュマッツ・ビア・ダイニング クリストファー・アックス氏、マーク・リュッテン氏 共同経営登場。

(いんしょく)ハイパー“飲食の戦士たち”シュマッツ・ビア・ダイニング クリストファー・アックス氏、マーク・リュッテン氏 共同経営登場
本文より~

小さな起業家2人。

マーク氏は、ドイツのもっとも優秀な大学の一校。European Business School, Oestrich-Winkelを首席で卒業している。しかも、最年少というオマケ付き。クリス氏は、マーク氏より年長で、彼の母親は経済学者であり、作家。日本のクラフトマンである「職人」たちを取材されたこともあるそうだ。
ちなみに、マーク氏の父親はサラリーマンで、母は銀行員。クリス氏の実家は、オーガニックファームである。
「ちかくに美術館があって、日本人はもちろん、日本語を聞くことが多く、その響きに興味をもったのが日本を意識するようになった始まりです。当時は、日本語とスペイン語を勉強しました」とマーク氏は、利発そうな表情で語る。
「マークは、はやく仕事がしたいと言ってインターナショナルスクールを2年で卒業し、飛び級して大学も19歳で卒業しています。じつは、日本の名古屋の大学にも留学していたんです」。
マーク氏とクリス氏は、きょうだいのように仲がいい。小さい頃から一緒だった。
「そうですね、ぼくらが小さな頃から、ファミリー同士が付き合っていました。互いにきょうだいもいるわけですが、なかでも、ぼくたちは波長があったのでしょう。小っちゃい頃から連絡を取り合って、海外へも一緒に旅行しています」。
気もあった。
「小さい頃から、2人とも起業しようと思っていました。『起業するか?』と、6歳の頃に聞かれても、ぼくらは同じように『イエス』と答えていたでしょうね」。
ただし、歩む道は、違った。
「クリスは、ファイナンスの世界に進んだし、ぼくは、ベンチャーキャピタルへと進んだ」とマーク氏。マーク氏はベルリン、クリス氏はメキシコシティ。
「2人が再会するのは、ニューヨークです。ぼくが先で、マークがあとから赴任してきました」。時間が許す限り、語りあった。志が高い2人。話は当然のこととして、起業の話に向かう。
「ぼくらはよく似た業界で仕事をしていたんですが、結果へのアプローチはまったく異なっていました。ぼくは、オペレーションだし、クリスは、ファイナンスやマーケティングが得意です。ある時に、ぼくらは気づきます。経験が異なるから、一緒にやれば、互いを補い合うことができるはずだ、と」。
「そう、それで、『じゃぁ何をするか』と話し合った時に、『フード』と『日本』が、ぼくらのキーワードになったんです」。

日本×ドイツ料理。

「ぼくは子どもの頃からの日本贔屓だし、名古屋の大学に留学した経験があって。クリスも、昔、東京の国際弁護士事務所に勤務していましたから、もともと2人とも、『日本』という国とは親和性があったんです」。
なるほど、わからなくはないが、広い世界のなかから、彼らが日本を選択したのは、それだけが理由だろうか?
まして、フードビジネスは2人にとって無縁の世界でもある。
「ぼくのお祖母さんがホテルを経営していて、昔から『食の仕事』をみてきたこともフードビジネスを選択した理由ですね。それに、マークは、とってもグルメで世界中のおいしい店を知っています/笑。それともう一つ、日本には『気軽に食べられるドイツ料理がまだ入ってきていない』というのが、日本を選択した理由です」。
まだ日本にないドイツ料理?
「そうです。バイエルンの伝統的なドイツ料理ですね。ぼくらは、ハンブルグで海もちかいからシーフードも食べます。そういう、いまの若者たちが好むドイツ料理、これが日本にはないな、と」。
面白い話がある。これも、彼ら2人が日本で起業する背景である。
「マーケティングをしているマーカスって知り合いが、日本にいた時に、マーケティングのため、中目黒の『桜祭り』に小さいソーセージ店をだしたんです。そうしたら、たちまち60~70人の行列ができて。送られてきた写真をみて、笑ってしまいました。ドイツでもソーセージにそんな行列ができない/笑」。
「でも、そこに、ぼくたちはビジネスの未来をみつけたんです。日本なら間違いなく、ぼくらのドイツ料理が受け入れられるって」。
そして、マーク氏21歳、クリス氏26歳。かくして2人は、2013年、新たな未来を拓くために、日本に渡る。

桜祭りの行列は再現できる?

「もともと資金もそうないので、できるだけお金をかけないというのがテーマでした。もちろん、初めてのチャレンジですし、日本のことも、いってもまだ知らないわけですから、小さくやろうよ、と」。
「そうですね。資金も200万円くらいしかなかったかな。志はでっかくても、お金があるわけじゃない。それで、フードトラックです。ペイントも2人でして。寝泊まりは、もっぱら倉庫で、実は住むところもなかったんです」。
「お金も、時間も、ぜんぶフードトラックに使いました。メニューですか? メニューは、ビールとソーセージです。ただ、とにかく本物にこだわって、レシピは有名なホテルのドイツ人シェフにお願いしました」。
初日から、桜祭りが再現されたそうだ。
販売方法にも工夫を重ねる。「マーケティング、販促、ディスカウント、何をしたら、リピーターになってくれるのか、試行錯誤する日々だった」と2人は当時を振り返る。
「お客さんは、タクシーの運転手から、OL、工事現場の人もいました。いろいろな人に来ていただいて、自信もでました。もっともすべてが順調だったわけではないです。フジロックフェスタにも出店しましたし、週末に開催される青山のファーマーズマーケットにも参加しました」。
 そして、1年半後に、「246 COMMUNE」にビアスタンドを出店し、赤坂に1号店となる「シュマッツ ビアダイニング赤坂」をオープンさせる。

「ドイツ料理」の将来性。

現在、マーク氏とクリス氏が経営する店は、12店舗、2019年3月には15日に東京ドームシティ、22日には中目黒に旗艦店がオープン。
このページがアップされる頃には、すでに14店舗になっている予定だ。
今後も月に2~3店舗も出店する計画というから、今後の展開が楽しみだ。
マーク氏とクリス氏という、2人のドイツ人が仕掛けた、ドイツの若者の食文化は、日本でも、旨いビールと旨いソーセージと一緒に広がっている。
「シュニッツェル・パルミジャーナ」「特製ドイツソーセージ5種盛り」「シュマッツ・ジャーマンポテト」「ドイツ風シャルキュトリボード」「マッシュルームのクリーミーリゾット」…。
シェアするなど食べ方は自由だ。
「日本人がいう『和・洋・中』の『洋』のイメージは、フランス料理やイタリア料理で、ドイツ料理ってないでしょ。そのイメージを僕たちが変えたいんです」 。
最後に2人が「困った」という一例を挙げる。
  「ランチですね。ドイツ人にとっては『じゃがいも』が、日本人のいう『お米』なんです。ともに主食です。日本の、『お米とおかず』のように、ドイツでは『じゃがいもとおかず』なんですね。でも、これが、理解されず…」。
「そうですね。どうしても、日本人はお米がないとだめなんでしょうね。ぼくたちドイツ人には考えられませんが、『じゃがいも』をおかずに『ご飯』を食べる人もいるくらいですから。それが、ある意味、カルチャーショックでしたね」。
  たしかにそうだ。「パン」は主食になったが、「じゃがいも」いまだ主食にならず。言い方をかえれば、そのぶん、未来があるとも言える。
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